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屋根葺き材の話

2024.06.10

ブログ

屋根葺き材について少し話してみたいと思います。

皆さんが一般的に住宅の屋根に葺いてある材料として思い浮かべられるのは瓦かコロニアルまたはカラー鉄板等が多いと思います。

瓦については和瓦、洋瓦等ありますが最近は平板瓦が主流になりつつありますね、またカラー鉄板も昔は耐久性が低かったのですが

(鉄板の裏面塗装が低品質で裏面から錆びて穴が空く)現在は塗装技術の進歩とガルバリウム鋼板の採用と相まって耐久性がぐんと向上し

緩い勾配でも使用できることからよく採用されているのを見かけます。(高耐久性ではカラーステンレスもありますが高価です)

コロニアル瓦は比較的安価であり一時期多用されていたのですがアスベストが使用されている事や(2006年以降の製品には含まれておりません)

経年劣化で(強度的にはほとんど問題ないそうですが)表面の色があせたりメンテナンスのことがあってか

最近は採用される機会が少ないように思われます。

また、今では製造されておりませんが、昔セメント瓦と言う物がありました。これは和瓦の形にモルタルで成形したもので

(表面の質感はコンクリートブロックです)

古いお家で時々見かけることがありますが問題は割れたりしたときのメンテナンスです、取り替える物がありません!

同じように瓦でも新商品が開発されるのは良いのですが、何年かして廃盤されることがあり製造されなくなると在庫がなければメンテナンスに困ります。

JISの規格にある瓦はそうでは無いでしょうがこの問題にたいして瓦メーカーはもっと責任を持ってもらいたいと思います。

 

板金の屋根で銅板の一文字葺きというのがあります、見た目葺き終わった当初はきらびやかで豪華であり、

また錆びても緑青で覆われますとそれもまた良い感じで(私などは銅板は表面が緑青で覆われるとそれ以上錆びないので末代物であると教わりました)

住宅のポーチ屋根等に採用される事が和風の建物には結構見られたのですが、いつの頃からか酸性雨の影響か表面の緑青が侵され

穴が空く事例が報告されるようになり神話は崩れました。今ではあまり見る機会がなくなったのは残念に思います。

 

 

和瓦は本瓦と桟瓦に分けられるのですが、本瓦で葺いてある屋根の参考としては松江城の屋根を見ていただければどういう物か

イメージしていただけると思います。

桟瓦と言うのは現在でもよく見かける瓦で原型は今から350年前の江戸時代、近江三井寺の瓦師西村半兵衛という人物が考案したとされています。

本瓦にくらべ軽く安価にできたので画期的な発明だったのでしょうね。

さて、瓦は粘土を焼いて作るのですが温度が低いと粘土に含まれる鉄分のため赤色を帯びた物となりますが

焼成する温度を上げて酸素を絶つ(燻(いぶ)す)と炭素が付着して銀灰色になります。

いぶし瓦と呼ばれその独特の銀灰色は重厚感もあり経年変化による色むらもまた落ち着いた風合いにもなり

和風の建物には良く似合うと私は思っております。

ただ、この瓦 吸水率も高いため気温が氷点下になると氷の膨張によってひび割れが生じ表面が剥離または割れたりするため、

寒冷地での使用に適さないと言ったことから釉薬をかけて焼成した瓦が珍重されるようになってきます。

この釉薬、江戸時代の後半期に宍道町来待で産する来待石の粉と砂鉄、酸化チタンを配合して作られた物が元祖だそうであります、

この釉薬は1300℃の高温で瓦を焼くことができ地産の粘土と相まって瓦の強度アップに働きそこから石見(石州)瓦として

全国に広まって三州、淡路と並び三大瓦産地のひとつとなったことは島根の住人として誇らしく思います。

20~30年位前までは色鮮やかな瓦も多く作られておりましたが、最近昔の派手な色の瓦が見られなくなり何でだろうと思い業者さんに聞くと

釉薬に鉛を混ぜることが禁止になったためとのこと・・・

まあ、耐久性では半永久的な釉薬瓦の右にでるものはそんなに無いと思っておりお薦めなのですが、

近年耐震性を考え屋根はなるべく軽くした方が良いとの事が言われてか、コストのこともあり瓦の使用量が激減していると聞きます。

 

瓦を葺く勾配は私が大学の建築学科を出て社会人になった云十年前の常識では4寸勾配以上(4/10 tangentθ=0.4 21.8度)必要でした、

それが最近の和瓦では2.5寸でも施工可能の商品があるとか!

勾配により制約されることが減り設計の自由度も増した瓦、個人的にはもっと使って欲しい屋根材だと思いますけど耐久性の高い物ですから

この先瓦が存続する限りの間継承できる製品であってほしいものですね。

 

 

ちなみに、江戸・明治期 瓦は高価であり一般的には藁(わら)あるいは茅(かや)葺きや板葺きの屋根が多かったのですが、

板葺きで使う板は(桧、杉、サワラ等削ぎやすく腐り難い木材が一般的です)厚み1ミリ前後から9ミリ前後まで4種類に分かれ

それぞれ 枌(へぎ)、杮(こけら)、木賊(とくさ)、栩(とち)と呼び分けるそうですが、

多く用いられたのは2~3ミリ厚の板で葺いた杮葺きだったみたいです。

竣工した建物で最後に屋根の杮のくず等を払い落としたことから「こけら落とし」の語源となったとか

(小生、学校でてから当分のあいだ杮(こけら)という文字は木へんに市、9角の文字とばかり思っておりました。)

以上 山田でした

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