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2024.08.26
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2024.07.26
ブログ
皆さんこんにちは。ほとんどの地域で梅雨も明けて、いよいよ夏本番です。
私は、夏より冬、海より山の方が、何か多種多様な人の営み・人生の機微が思い浮かばれて好きなんですが皆さんは如何ですか?
ところで今回は、宮大工の叡智・匠と美の技の最高傑作『五重塔』についてお話ししてみたいと思います。
そもそも「五重塔って何だと思いますか?何であのような形なんでしょうか?」って聞かれたらどう答えますか?
ルーツは、仏教発祥のインドで造られた「仏陀のお墓」としてのストウ―パ(サンスクリット語)にあって、漢字を当てて「卒塔婆」となったようです。
葬儀や法事でよく見る「塔婆(細長い木の板札)」のことです。つまり、五重塔も塔婆も、仏陀のお墓「仏塔」を表現したもので、仏教の教えをもとに日本式の「五輪塔」の表現に由来しているようです。
「五輪塔」とはインドの五大思想に基づき、下段から順に「地輪」「水輪」「火輪」「風輪」「空輪」を表現し、真言宗のお墓などによく見かける石塔です。
ところで、日本で一番古い五重塔は法隆寺五重塔(国宝・築後1,300年)で、一番高い五重塔は京都東寺の五重塔(国宝・54.8m)ですが、私が卒業後しばらく京都南区の工務店にいた頃にはまだ高い建物も少なく、どこからでも見渡せるような高さで、まさに京都の象徴という風格で威容を誇っていました。
先般、何十年ぶりに、この東寺五重塔と、三番目に古い醍醐寺五重塔(国宝・築後1,070年)の両方を見てきましたが、何ともこの宮大工の叡智・匠と美の技に改めて感動しました。美しいです、力強いです、すばらしい日本の宝物です。誇りです。
また、現存する五重塔は80棟を超え、三重塔も100棟以上は残っているようですが、驚くことに、千年以上の長い歴史の中で、戦火や落雷で焼失したものはあっても、大地震で倒壊したものは、一棟も記録されていないってご存じでしたか、驚きですよね。
どう見てもあの不安定ですぐに倒れてしまいそうな塔がなぜ?(不安定で不自然な形だからこそ、美しいのかもわかりませんが・・)
皆さんは、五重塔の中心に真一文字に天まで伸びた『心柱(しんばしら)』という、現代科学でも正確に解析できていない不可解な怪物とでも言うべき木造巨大柱が立っていることをご存じでしょうか?(下記図のA)
そして、この「五重塔の不倒」の一番の要因とされているのがこの「心柱の存在」だというわけです。
そして、世界一高いタワー「東京スカイツリー」もこの「心柱の不倒理論」の採用によってはじめて実現出来たということをご存じでしょうか。
専門的ではありますが、添付の別図を見ていただくと、五重塔の内部の骨組みのしくみが多少でもお分かりになると思いますが、東寺の場合は(他にもいろいろな仕組みの心柱が存在しているようですが)、中心の「心柱(しんばしら)」が、頂上の「相輪」を固定している「露盤」といわれる四角い台座に固定されているだけで、たいへんな重さの心柱は、外側の屋根本体にも最下部の礎石にも繋がっていない(触れていない)ので、露盤に吊られてぶら下がっている状態だというわけです。いわば重しになっている状態だというのです。ところで・・・
まだこのあとの大切な部分も、もう少し話が長くなりそうなので、今回はこのくらいで、次回にこの続きのお話をさせていただきたいと思います。
有難うございました。
(一社)しまね古民家倶楽部 理事長 安達盛二