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木造の軸組(骨組み)考

2024.08.23

ブログ

 

構造のお話を少ししてみたいと思います。

 

 

1のような状態で力が加わった場合支点AとB間に架け渡した物を横架材(一般的に梁)と呼んでおりますが、これは通常下方にたわむのは経験則から私たちは想像できると思います。

では梁の断面として図(a)と(b)の断面で考えた場合ではどちらがよりたわみやすいでしょうか?

(a)の断面積は36㎠、(b)の断面積は20.25㎠で(a)のほうが大きいのですがどうでしょう?

正解は(a)となります

これは少々専門的になりますが断面の性能を表す係数として断面二次モーメントというものがあり、その計算をして出た数値を比較してみると分かります。

{断面二次モーメントとは何ぞやと思われますでしょうが、説明が簡単にはできないのでそんなもんかとここはご承知ください。}

断面二次モーメントは断面の形状により違うのですが矩形の場合はb×h3/12 (b:材の幅 h:材の高さ)で計算され

(a)は27cm4 (b)は34.17cm4 で数値の大きいほうがたわみにくいことになり(b)のほうがたわみにくいのです。

次に(c)と(d)の場合を考えてみます。

断面積はどちらも360㎠で同じなのですが、断面二次モーメントは(c)は5832cm4+1728cm4=7560cm

(d)は27000cm4で(d)は(c)の3.5倍以上のたわみにくさがあることが分かります。材を重ねて、見た目太い感じでも強度的にはそれほどでは無いということです。

 

木造住宅の骨組みの設計をする場合 設計者によりその思想の違いが出ることがあります。

例として桁(屋根の軒の部分で垂木を受ける梁)の軸組でみますと下図のパターンが考えられます。

 

 

図2は加わる力の大きさに応じて必要最小限の断面の部材を組み合わせて軸組を構成するやり方、図3は見た目が細いと貧弱に見える為ある程度見た目のバランス

を考えて部材の大きさを決め梁をその大きさで通し必要な部分があれば補強梁をいれるやり方、図4は最も大きな力が加わる部材の断面を基準にして補強梁は入れ

ずそのサイズで梁を通す組み方です。

図2が最も材料のボリュームが少なく経済的と言えるわけですが、なにか上棟の時すっきりした骨組みに見えないと感じるのは私だけでしょうか?

図3はそれなりに見た目がすっきりと見え、昔大工さんが作られる骨組みはこのケースが多かったように思います。

図4についてはごつい骨組みの印象を受け、材のボリュームもそれなりに多くなりますが、見た目スマートに感じ円健創はこの考えで 上棟時組みあがった住宅の

骨組みが美しいかどうかをずっと追及してきたと思います。

どのケースもそれなりの設計思想のもとで形つくるものであり良し悪しの問題でもないと思われますが、皆さんはどうお感じでしょうか。

山田でした

 

 

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