NEWS
2025.11.10
お知らせ
ブログ
今回は架空の事例で建築の法規について少しお話してみようと思います。
Aさんは2世帯住宅を建てようと土地を探していましたが、望んだ立地条件で非常に気に入った土地があり購入しようと思いました。
ただその物件は第一種住居地域で建ぺい率60%、容積率200%の地域であり、広さは100㎡(約30坪)10m四方のほぼ真四角な土地でありました。
少し狭いかなと思いつつ果たして希望する建物が建てられるのだろうか心配になり、知り合いのB建築士に相談してみることにしました。
※建ぺい率:建物の水平投影面積の敷地面積に対する割合
※容積率 :建物の延床面積の敷地面積に対する割合

敷地面積100㎡で建ぺい率60%、容積率200%、角地ではないため建ぺい率の1割緩和はありません。
Aさんの希望を聞き取りながらB建築士は、これは3階建てでは要望が満たせないので4階建てで建物は計画しなければならないなと思いましたが、単純に1つの階を建ぺい率制限一杯の60㎡の4層だとすると 60㎡×4=240㎡ >200㎡ 容積率オーバーでNGとなります。
1階部分は車庫(1台分あれば可)と趣味のDIY用の作業場が絶対に欲しいとのことでしたので、間口9m×奥行き6m=54㎡<60㎡のスペースの中で
1階はビルトインガレージ(21㎡)、作業場(21㎡)、階段、廊下、ホームエレベーター(12㎡)あと玄関(4㎡)を配置しても合計58㎡<60㎡の中なんとかやれそうです。
2~4階は54㎡×3=162㎡、それで延べ床面積を計算してみると220㎡になります。
200㎡を超えていてアウトじゃないかと思われるかもしれませんが、容積率の算定については延べ面積のうち車庫部分はその五分の一までは控除して計算できるとなっていますので、220㎡×1/5=44㎡まではOKですから220㎡―21㎡=199㎡<200㎡で見事に容積率制限もクリアできています。

この案でどうかと提案したところ駐車場のスペースは間口3.5m×奥行き6mでなくても間口を3mにして作業場をもっと広くしたいとAさんはおっしゃいます。
間口を3mにすると駐車場の面積は18㎡となり220㎡-18㎡=202㎡で容積率を超えてしまいます。
これでは確認申請が通りませんのでそのぶんほかの居住部分の面積を減らすしかありません。
その旨をB建築士は説明し居住部分を縮小するのも嫌なため不承不承Aさんを納得させたB建築士ですがここでよからぬ提案をささやきます。
「作業場と車庫の間仕切り壁は簡便に作って置き、役所の検査済み証をもらった後で間仕切り壁の位置をずらすことは可能ですよ、外部から見ても分かりませんしそのことで他人が不利をこうむることもありません」と、もちろんその時点で違法建築となりますので分かれば是正勧告されるのはあくまで自己責任となることも念をおします。

さて、世の建築士の実務で建築法規に精通して設計をしておられる方々におかれましてはこれ以外でも色々グレーな事例を処理してこられておるのではないかと推察しますがさて、あなたは法令絶対遵守派ですか、それとも悪魔のささやきをしてしまう派ですか?
はたまた、建築主の方はどちらの設計士に仕事を依頼しようと思われますか?
ちなみに、私は法令遵守は絶対だと思っております。ただ、お客様の要望はできる限り叶えて差し上げたいとも思っています。
山田でした
その他の記事