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2024.08.26
お知らせ
2024.10.20
ブログ
すっかり秋の風情が漂う過ごしやすい季節がやってきました。
と言っても、この心地よい秋はだんだん短くなり、すぐに季節は移ろい、あっという間に寒い冬が来てしまうんですよね。
どうぞこの短い秋を十分に楽しんでいただきたいと思います。
さて、以前に「古民家」と「現代住宅」の違いの中で、特にはっきりとよくわかる違いについてお話ししました。
「耐震」・「免震」とその根本的な違い(キーワードと内容説明)について、そして、家づくりの思想(考え方)の違い(「自然との共生」か「自然を克服」か)、更には、古民家は現代住宅に比べて具体的にどのくらい倒れにくいのか、などについてお話ししました。
今回は、その比較から見えるそれぞれの時代の生活環境や暮らし方の違いについてお話ししたいと思います。
日本は「高温多湿」の国です。夏の蒸し暑さは尋常ではありません。
近年は、全国で真夏の最高気温は35℃~38℃超えが当たり前のようになりましたが、私たち良き昭和世代が子供の頃は、30℃超えてもmax33℃くらいまででした。それでももちろん「クーラー」すらありません。なので「夏の暑さを凌ぐ」ことが家づくりの最大の使命でした。
現代は、寒さ対策が一番の関心事のようですが、寒さは「暖を取る(ストーブ、掘りごたつ・火鉢・焚き火など)知恵」や「真綿の利用・重ね着などの工夫」で何とか凌げたと思いますが、暑さばかりは家の造り方や暮らし方の工夫でよほどの智慧を絞らないと凌げません。
そのために大工さんはもちろん日本人すべてが、自然の力(特徴)、特に「雨」「風」「光」の良し悪しを最大限に工夫して利用する智慧があったように感じます。
「深い軒の出(雨・風・太陽から家・人を守る)」
「高床(通風良くして、床下の腐れから家を守る)」
「自然素材利用(木材・土・紙・藁・葦・茅)(人間に相性が良く、自然に還る優しい材)」
「開口部の長庇の取付(雨天時の窓開け・通風)」
「大開口(通風・自然環境との一体感)」
「開放的な田の字型間取り(家族は一つ・随時多目的利用可)」
「茅葺き屋根(屋根断熱・屋根通気)」
「障子・襖(隣室一体感・手作り感)」
「縁側文化(コミュニケーション・ゆとり・和室断熱)」
「建具間仕切り(一体感・多用途利用可)」等々。
▲ 古民家の平面図(一例)
「周囲の広葉樹の植栽(太陽光の有効利用)」
「葦戸(通風)」
「葦簀(日よけ・通風)」
「蚊帳(建具開放利用・通風)」
「庭や道路の打ち水(気温低下・気化熱利用)」
「風鈴(涼しさ感覚)」
「虫の音(季節感・季節の移ろい)」
「水の音(せせらぎ)(涼しさ感覚)」等々、多くの工夫がありました。
逆に、現代住宅、特に戦後の「大手メーカーの家」はどうでしょう?
地震対策も向き合い方もそうであったように、上記のすべての「家づくり理念」「自然との付き合い方(向き合い方)」や「暮らし方・考え方」が、ことごとく真逆だと思いませんか?
「軒の出が0(外壁が傷む・家の耐久性低下)」
「低床(床下の耐久性低下)」
「すべて人工部材の家(100%産業廃棄物・環境破壊・無機質環境)」
「開口部の庇なし(雨の日の開放不可)」
「窓は少なく、小さく(外部環境との断絶・四季の不在・五感の劣化)」
「プライバシー重視の個室型間取り(家族の断絶・崩壊)」
「障子・襖・縁側なし(無機質空間)」、
「起床から就寝まで、一日中機械・電気制御の暮らし(自然環境との断絶生活)」
「花壇もなければ植栽もなし(無機質環境・安価な雰囲気)」
「高気密・高断熱仕様(虫の音、蛙、蝉の声が聞こえず、四季を感じない、五感を使わない暮らし)」等々・・・いかがですか?
この真逆な家づくりの変化、真逆な暮らしの変化、真逆な考え方の変化、皆さんはどう感じられたでしょうか?
「古民家」は、近年は特に人気が出てきて、長い間手が付けられずに眠っていた貴重な日本の文化・財産が、いろいろな形で動きだして日の目を見るようになってきたことは大いに喜ばしいことです。
「古民家(住宅)」は、その時代の暮らしや文化や思想の表現力です。
「古民家」は、重たいです、深いです、美しいです、そして品格があります。
今述べてきたように、現代の住宅のそれと比べると比較にならないと感じます。
「家は時代の表現」と申し上げましたが、もしそうであるとすれば、残念ながら、現代に生きる日本人と、古民家の時代に生きた日本人とでは、ずいぶんと「重さ・深さ・美しさ・品格」に差があるような気がしてなりません。
知識量は大いにどんどん増えてきているんでしょうが、それ以外の人間力は何かにつけてやっぱりどんどん薄っぺらになってきているのかもわかりませんね。(失礼しました) 次回をどうぞお楽しみに ‼
(一社)しまね古民家倶楽部
理事長 安 達 盛 二
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